種田ことびさんという方が書かれた本です。表紙のイラストがとても可愛らしい。
本の帯には「たぶん30分くらいで読める」と記載してあるので、私でも読めるかなと思いページをめくってみた。
ちなみに、こちらの本は先に出ている「はるか昔の進化がよくわかる ゆるゆる生物日誌」の続編である。
ちなみに、4コマ漫画風の構成になっている。まずはじめに、DNAと真核生物がキャラクター化されたもののやりとりから始まる。こちらは前編からの流れであり、後編から読んでる者としては正直あまりピンとこない。(当たり前)
本編は6600万年前の恐竜絶滅後、小さな哺乳類の仲間が生き延びた古第三紀からの話だ。
支配者の枠がポッカリと空いて、適応放散をする生物たち。まずその枠を勝ちとったのは陸に残った鳥類だ。などという本の内容の説明は省こう。
読みやすく面白い
人類史なのに、漫画なのでイラストが多めで文字が少ない。また、キャラクターのしゃべり言葉が何故かちょいちょい関西弁になるところがあり、それがとてもユニークだ。イラストが単純な割に表情が豊かで無駄がなく状況が分かりやすい。セリフが少ないのに本質を突いている。
ピンチはチャンス
色々な生き物が、寒冷化や温暖化などの環境の変化により、生存の危機に直面するが、それを乗り越えるために工夫して耐え忍んだり、別の道を歩んだり等して、そのピンチを迎えたことによって大きな変化を生んでいる。人は大きな変化を避けようとするが(それも本能)難しい問題をポジティブに受けとめることによって、大きな成長を遂げることができるというメッセージを受け取った。
恐竜という地球を支配していた生物が絶滅してから6600万年という歳月が過ぎ、その間にも沢山の生物が自然淘汰されていった。今生き残っている者たちは、うまく環境に適応できた選ばれた者という見方もできる。決して強いから、大きいから、賢いから、という訳ではなく、一見ネガティブな「小さい」とか「臆病」とかそういった部分も実は生きていく上で大切だったから、私たちは生き残っている。だからもっと自分に自信を持って勇気を出して生きていきたいと思わせてくれた。
何かの為に生きているわけではない。「自然発生で生まれて、ただ一生懸命に生きていた」沢山の先祖に思いを馳せる、切なくも壮大なストーリー。
あらゆるものが簡単に手に入る便利に慣れきった我々現代の人間が、忘れかけている「自分たちの根っこ」の部分を教えてくれる、良い本です。